食を通してからだを考える。中国料理発薬膳カレー。

薬膳とアーユルヴェーダ。家庭料理に通づる当たり前。

カレーははもともと薬膳だよね、そんなことを言う御仁もいるくらいスパイスというものが身近になった昨今である。薬膳は、アーユルヴェーダは、もっといえば世界のお母さんは、むかしむかしからそのやり方を実践していることに気づいたりする。

たとえば日本のお母さん。きのうお父さんが鼻をを啜っていたようね、だったら、と朝食の味噌汁に少し生姜をくわえてやって体を温めてあげたり。そういう当たり前の日々の中での生活の知恵。それが体系化されたものが薬膳だったりアーユルヴェーダだったりの根源なのではなかろうか。

スリランカのお母さん。テーブルにたくさんあるおかずからお父さんにはいろいろなおかずを盛り付けてあげる。わたしにはごはんと自慢のおかずを1種だけ。おや?「あとはご自分で好きなものを取ってね。お父さんの体調は知っているけど今日いらっしゃったあなたが昨日食べたものや今の体調を私は知らないからね。」

レトルトカレーで薬膳とは。

まったくなるほどである。体調によって食べ物を考える。当たり前のことを当たり前に実践するのが薬膳やアーユルヴェーダなのではあるまいか。そんなことを考えながらのレトルトカレー。

「薬膳シリーズ いのちのたね」というラインナップ。タイカレーでお馴染みのヤマモリ株式会社のグループ企業、伊勢醤油本舗株式会社の製品だ。まさか伊勢醤油本舗ブランドでカレーがあるとは思わなかったので驚いた。

パン・ウェイ先生監修の薬膳カレー。

薬膳料理研究家のパン・ウェイ先生が監修をしている。著書もたくさんお持ちでNHK「きょうの料理」でも活躍、代々木八幡に中国料理と薬膳を主体としたキッチンスタジオを構え料理教室を主催されている。

レトルトパウチ食品の「薬膳シリーズ「いのちのたね」」は薬食同源、食養生を旨として薬膳がテーマとなるカレーと粥、スープのラインナップ。そのなかでカレーは牛肉、豚肉、鶏肉の3種。

「いのちのたね 豚肉の薬膳カレー」

を食べてみることとした。これが大変におもしろい。

薬膳カレーはどんな味?

味はやんわりと酸っぱい印象で、あまり他にない感じのおもしろい決め方着地点。ダイスカットの野菜がたくさん入っており見た目も華やかだ。ポークは強い主張をしてこず、それがバランスを良いものとしている。野菜はかぼちゃ、にんじん、枝豆が入り、その間に細く黒いものが見え隠れ。これはキクラゲか。食感に大きく寄与するほどの量は入れていないが良いアクセントになっていた。

中華風の仕立てと書いてあったが、たとえばバターチキンカレーのきちんとしたもの(甘味ではなく酸味に振った正しいもの)にニュアンスが似るのがおもしろいところ。オリジナリティが非常に高い。

アレンジで楽しくなる懐の広さ。

説明には「野菜の自然な甘みを生かした、マイルドな味わい。お子さまや辛いものが苦手な方に。」とあり、さもありなんと感じる。「春雨やうどんにかけたり、葉物野菜をのせたり、水分をとばしてパンにのせたり、アレンジも楽しんでください。」というサジェストもあって、なるほど、確かにそれは良さそうだ。メーカーからアレンジの提案があるレトルトカレーは多くないので試してみたくなる。料理研究家の先生が監修しているからこそ、だろう。

・生薬を使わない、家庭に伝わる食の知恵。

パン・ウェイ先生は「わたしが教えている薬膳は、生薬を使ったものではなく、家庭に伝わってきた食の知恵にもとづいたもの。ふだんの食事ですから、まずはおいしいことが大切です。」とおっしゃる。そういいながら「三年後、五年後の自分のために、いま、体に合った食事を選ぶこと。」という本質も欠かさない。

色々と深く納得しつつ、これを食べながら自分の日々の食を考える。

そんな大事なきっかけをもらえた気がしている。

【伊勢醤油公式サイト】 https://www.isesyoyu.co.jp/view/category/yakuzen

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はぴい職業:カレーライター、フードジャーナリスト 好きなカレー:もちろんオールジャンル!
どうも~。はぴいこと、飯塚あつしです。カレーに関連する仕事を始めて早数十年。いまでは食欲と胃袋の戦いです…。このサイトではカレーライターの本領発揮。ホストの名に恥じぬよう、スパイスの選び方やアレンジレシピ、知る人ぞ知る名店情報をお届けしています!