食べる前に読む!世界のカレー「ネパール」編

「カレー」という言葉を聞くと、インドを思い浮かべる人が多いですが、隣国ネパールにも「これはカレーだ!」と思わせる独自のスタイルがあります。ヒマラヤ山脈のふもとに広がるこの国では、自然豊かな環境と多民族文化が料理に色濃く反映されています。今回は、ネパールのカレーをテーマに、その奥深い魅力をお届けします。

ネパールのカレー「ダルバート」とは?

ネパールでカレーといえば、真っ先に名前が挙がるのが「ダールバート」。これは、レンズ豆のスープ「ダール」とご飯「バート」を基本に、野菜やお肉のカレー、漬物(アチャール)がセットになった日本でいう定食にあてはまる定番料理です。一見シンプルに見えますが、スパイスの使い方や具材の組み合わせによって味わいが全く異なります。

特徴的なのは、その食べ方。すべての具材をプレート上で混ぜ合わせ、自由なアレンジで楽しむのが一般的です。これによって、スパイスと食材の複雑なハーモニーが口の中に広がり、自分の好みの味や配合を作ることができます。まさに、シンプルながら奥深い料理といえるでしょう。

日本人が「カレーらしい」と感じる要素

ネパールのカレーの特徴は、日本のカレーとは違いながらも、どこか懐かしさを感じさせる要素がある点です。その理由の一つが、「ダール」の存在。豆を煮込んで作られるスープの優しい風味は、日本人が日常的に口にする味噌汁やお粥のような感覚に近く、親しみを覚えやすいのです。

また、「カレー」といっても過度な辛さは少なく、素材そのものの味を活かす調理法が主流。スパイスは香り付けの役割が強く、日本のカレーに近い「食べやすさ」が魅力となっています。特に、ご飯と合わせて食べるスタイルは、日本の食文化とも共通点が多く、馴染みやすいでしょう。

ネパールカレーに息づく文化と歴史

ネパールのカレーには、山岳国、多民族国家ならではのバリエーションが豊富です。例えば、ヒマラヤ地方では山の恵みを活かした根菜等中心のカレーが一般的で、一方で南部のタライ地方では、インド文化の影響を受けたスパイシーなカレーが主流です。

また、ネパールのカレーには「季節を味わう」という側面もあります。標高差のある国土ゆえに、地域ごとに異なる食材が使われるため、同じダルバートでも地方によって味わいが全く異なるのです。この多様性こそが、ネパールカレーの奥深さを象徴しています。

ネパールカレーが教えてくれること

ネパールのカレーに触れると、料理は文化や暮らしと密接に結びついていることを改めて実感します。一皿の中に詰まったスパイスや食材、そしてその背景にある人々の生活。それらを知ることで、食の楽しさがさらに広がるのです。

また、「カレー」という枠組みが、単に辛さやスパイスの種類を超えて、もっと広い意味を持つことに気づかされます。日本人が「これはカレーだ」と感じる要素が、実は世界の至るところで息づいているのだと実感できるでしょう。

もし次に「新しいカレーを試してみたい」と思ったら、ネパールのカレーを思い出してください。その素朴さの中に広がる奥深い味わいが、あなたの食の冒険を豊かにしてくれるはずです。そして、その一皿が、遠いヒマラヤの風景と、ネパールの人々の笑顔を感じさせる体験へと繋がっていくかもしれません。

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ジャン・バラヤ年齢:20歳 職業:大学生・文学部 好きなカレー:本格インドカレー(特にチキンカレー)
大学では文学を学びつつ、本格インドカレーにどハマり中。特にチキンカレーの奥深さに魅了され、自宅でスパイス調合にも挑戦。言葉を紡ぐのも、スパイスを混ぜるのも奥が深い!カレーをもっと楽しく味わうための知識を発信します