
山形の秋の風物詩といえば、芋煮です。
河原で大鍋を囲み、里芋と牛肉、醤油味の汁を煮込む。
この風景は、観光写真以上に、地元の暮らしに根づいたものです。
そして芋煮には、もうひとつの楽しみ方があります。
それが、芋煮の〆にカレーを作るという食べ方です。
芋煮は「途中で終わらない料理」
芋煮は、最初から最後まで一度で完結する料理ではありません。
- ・煮え具合を見ながら食べる
- ・味を足しながら調整する
- ・人が集まり、時間が経つ
芋煮は、
食べ進める過程そのものを楽しむ鍋料理です。
そのため、「最後にどう締めるか」も、
芋煮の一部として自然に考えられてきました。
なぜ〆がカレーなのか
芋煮の〆としてカレーが選ばれる理由は、とても実用的です。
芋煮の汁には、
- ・牛肉や野菜の旨味
- ・醤油ベースのコク
- ・煮込まれた油分
がすでに十分に溶け込んでいます。
そこにカレールウを加えるだけで、
- ・新しい味に変わる
- ・飽きずに食べられる
- ・最後まできれいに食べきれる
という状態になります。
「残り物を消費する」というより、
味を変えて、もう一度楽しむという感覚に近い食べ方です。
芋煮カレーは、〆というより「第二幕」
芋煮の〆カレーは、鍋の後始末として生まれた文化ではありません。
むしろ、
- ・芋煮を楽しんだあと
- ・少し落ち着いたタイミングで
- ・もう一度鍋を囲む
という、第二幕のような存在です。
芋煮では満腹だったはずなのに、
カレーになると、なぜかまた箸が進む。
そんな経験をした人も少なくありません。
カレーという選択が、芋煮に合っている理由
芋煮の〆に、ラーメンやうどんではなく、
カレーが選ばれてきたのには理由があります。
カレーは、
- ・味の濃淡を受け止められる
- ・醤油ベースとも相性がいい
- ・多少の具材のばらつきを気にしない
という、懐の深い料理です。
芋煮の鍋は、
具材の量も、味の濃さも、その時々で違います。
その“揺らぎ”を受け止められるからこそ、
〆として成立してきました。
「正解」がないのも、芋煮カレーらしさ
芋煮カレーには、決まったレシピがありません。
- ・ルウをどれくらい入れるか
- ・とろみを付けるかどうか
- ・ご飯にかけるか、うどんにするか
家庭や集まりごとに違います。
この「正解がない感じ」は、
芋煮そのものの文化ともよく似ています。
芋煮の〆カレーは、山形らしい合理性
山形の芋煮文化は、
- ・みんなで作る
- ・みんなで食べる
- ・最後まで無駄にしない
という考え方の上に成り立っています。
〆にカレーを作るのも、その延長線上にある行為です。
特別なことをしている意識はなく、
「そうするのが自然」という感覚で続いてきました。
まとめ:〆カレーがあるから、芋煮は完成する
芋煮の〆カレーは、
余った鍋の後処理ではありません。
- ・芋煮を楽しみ
- ・味の変化を楽しみ
- ・最後まで食べきる
その流れの中で、
自然に生まれた食文化です。
芋煮は、〆まで含めてひとつの料理。
そして、その〆にカレーが選ばれてきたのは、
カレーが日本の暮らしに深く根づいている料理だからなのかもしれません。
もし芋煮をする機会があったら、
最後はぜひ、カレーで締めてみてください。
それもまた、芋煮の正しい楽しみ方のひとつです。












