
カレーを食べていると、たまにこういう人が現れる。「これ、コクあるよね」。そしてその直後、なぜか誰も説明できなくなる。辛いとか甘いなら説明できるし、スパイシーとか濃厚もなんとなくわかる。でも「コク」だけは、全員が知っているのに、誰も定義できない。なので今日は、カレーを食べながら通ぶるためだけの「コク講座」をやってみたい。
コクがない=平面、コクがある=立体
コクがないカレーは、味が平面だ。辛い、甘い、しょっぱい、酸っぱい。それぞれはあるが、すべて同じ高さに並んでいる。
一方でコクのあるカレーは、味が立体になる。旨味が土台になり、香りが立ち上がり、油脂が厚みをつくり、スパイスが輪郭をつくる。高さが出て、奥行きが出て、重なりが生まれる。この「三次元化」こそがコクだ。
クドさとは、建築の崩壊である
ここでいきなり話が飛ぶが、コクは建築に近い。新進気鋭のアーティストがつくる、造形的に美しい建築物。見る角度によって印象が変わり、全体は調和している。
それと同じで、コクのあるカレーは、どの要素も主張しすぎず、しかし消えていない。すべてが構造の中にきちんと収まっている。だから人はそれを「コクがある」と感じる。
まとめ:コクとは、調和した三次元性
まとめるとこうなる。コクがないと味は平面、コクがあると味は立体で構造が調和している、クドいと立体が崩壊している。つまりコクとは、味の要素がつくる調和した三次元構造のことだ。
今度誰かが安直に「コクがある」などと感想をのたまっていたら、
次からはこう同調して差し上げればよい。
「うん、美しい三次元構造を感じるね」
実にクドい話である。











