
インドカレー屋に入ると、隣の席でナンを片手で華麗にちぎっている人がいた。
「おっ、わかってるな」と思ったあなた、それ正解です。
実はインドカレーには、知ってると「通に見える」食べ方のコツがいくつもあるんです。
インドカレーをもっと楽しむ、「インドカレー通」になるため豆知識、ここでこっそり仕入れておきましょう。
ナンを右手だけでちぎるのが「本場仕込み」
インドでは、右手と左手には役割の差があります。
右手は「食べる手」、左手は「不浄の手」とされるため、食事中は右手のみを使うのが基本。
ナンをちぎる、カレーをすくう、ご飯をまとめる。すべて右手です。
もちろん日本のレストランでは両手で食べても誰も咎めませんが、右手だけで器用にナンをちぎる人がいたら、それは現地の文化にリスペクトを持っている証拠。
慣れないうちは少し難しいけれど、親指・人差し指・中指の三本でナンを折るようにすれば、自然ときれいにちぎれます。通な振る舞いとして是非。
ナンとライス、どっちを選べばいいの?
インドカレー屋で「ナンとライス、どちらにしますか?」と聞かれることはよくあります。
このとき、インドカレーの地域性を知って選ぶと、ちょっと通な感じになります。
インドカレーをざっくり分類すると、北インドはナンなどのパン文化、南インドはライス文化なんです。日本のインドカレー店は北インド系が多いので、ナンがメインで出ることが多いですが、カレーのタイプによって選び方を変えるのが本場を知っている人を演出できます。
たとえば、濃厚なバターチキンカレーにはナン、さらっとした豆カレー(ダール)にはライス。
もちろん食べたい方を選ぶ以上の正解はありませんが、この使い分けができれば、通な振る舞いと言えるでしょう。
「使いさし」はNG? ジューターの考え方
インドの食文化には「ジューター(jhootha)」という概念があります。
簡単に言えば“食べ残し”ですが、実際には「他人が口にした、またはその影響が及んだ食べ物」全般を指し、非常にデリケートな考え方です。
たとえば、ナンが数枚重ねられて出てきたとき、無意識に右手で上の一枚を取ろうとすると、
それだけで下にあるナンまですべて「ジューター」扱いになってしまいます。
「右手=食べた手」だと見なされるため、他人の食べ物を汚す行為になるのです。
インドでは、こうした場面では左手で取るのがマナー。
左手が「食べていない手」という前提で、清浄な共有行為とされるからです。
つまり、見た目に触れていなくても、「観念的に汚した」とされることがあるのがジューターの世界。難しい話ですが、知っていると“通”としての格が上がりますね。こうした背景を知っておくと、ナンをちぎる手つきひとつにも意味が宿ってきます。
まとめ:ちょっとの知識で、カレーは深まる
インドカレーは、ただの「エスニック料理」ではなく、文化と美学の詰まった一皿。
右手でナンをちぎる、カレーに合わせて主食を選ぶ、ジューターに配慮する——
どれも些細な所作に見えますが、その細部に神という名の「通っぽさ」が宿ります。
もちろん日本の店で絶対守るべきルールではありませんし、ましてやこの記事を読んで他人の所作を批判するの間違いです。ですが、ほんの少しでもインドの文化に触れることで、インドカレーについての理解は増し、食事に知識という彩りを加えてくれます。
あなたがインドカレー通を目指すなら、ぜひ今日の一皿から試してみてください!
